ゼミ生へのメール

2020年4月29日

コロナウイルス(COVID-19)によって、ゼミはまだスタートを切れないままです。
大学の授業開始は、連休明け11日から始める予定となっていますが、まだまだ厳しい状態だと思います。(世界基準に合わせて9月入学、始業も検討されていますが…)

田中の方も当初の予定では、今、中国の南広学院の研究室でデジタルコンテンツ開発の研究を進めているはずなのですが、パンデミックによる緊急事態措置STAY HOMEで、文星芸術大学の研究室に閉じ籠もりひとり仕事をしながら人と会わない日々をおくっています。

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世界の状況を見ていると、「今からどうなっていくのか」、「どう生きていけばいいのか」などだれもが不安を抱いていると思います。

生きていくには「想像」が必要です。
「想像」があって、その「想像」の先には「目的」があり、その「目的を創造」することで、人は「今」を生きられるのです。

田中は毎年、ゼミの最初、新しいゼミ生に「即今(そつこん)・当処(とうしょ)・自己(じこ)」、(「今、ここで私が生きる」)という禅の教えの言葉を必ず伝えるようにしています。

「今」があって未来はあります。
未来を創造し、そのために「今」何をすべきか。
「今」があって過去もあります。
過去があって「今」ここに自分が存在するからです。

だから「今」を生きることで考えるということです。

田中は「今」不安を感じているときは、「想像する力を得よう」と考えます。
「想像」というのは、「知識」があって、はじめて「想像」できるものだと思います。

たとえばギターを弾きたいのならば、6本の弦は、6弦からE.A.D.G.B.E(ミシソエラミ)の音にチューニングしなければならないという知識がなければ、ギターから生み出す「想像」はできません。

今回のパンデミックも、このあと世界はどうなっていくのか「知識」がないことで、想像できなく、ただただ不安に駆られてしまいます。

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最近、NHKのEテレ、BS1でおもしろい番組がいくつか放映されました。
「緊急対談 パンデミックが変える世界 〜海外の知性が語る展望〜」「緊急対談 パンデミックが変える世界 ユヴァル・ノア・ハラリとの60分」「グローバル経済 複雑性への挑戦」などです。
今、世界が注目する、哲学者、経済学者、歴史学者たちの「知識」が見られる番組でした。

今、世界の知性は、このパンデミックをどう見ているか。

先進国はGDPの70%はサービス業が占めているという2020年の世界経済。
巨大化するGAFA資本主義と、存在感を増す中国社会主義市場経済、膨大なデータの争いの中で起こった今回のパンデミック。

世界が今、注目している歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリは、「新型コロナの嵐はやがて過ぎ去り、人類は生き残るだろう」
「しかしその時私たちは、今とは異なる世界に住むことになる」
そう言っています。

たしかにそれは想像できます。
今回のパンデミックによって、国際政治学者のイアン・ブレマーは「ハイテク企業の力が大きくなり、実店舗型の企業が倒産するでしょう」と言っているとおり、GAFAの資本主義と、中国社会主義市場経済の中心BATHは存在感を増し、世界の格差はより大きなものとなっていくことは間違いないでしょう。

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哲学者のマルクス・ガブリエルは「自由主義の終焉」と言っています。

経済学者で思想家のジャック・アタリの考えがガブリエルの言葉の意味を示しています。
「安全か自由かと言う選択肢があれば、人は必ず自由ではなく安全を選びます」
「それは強い政府が必要とされることを意味します」

アタリはそう言って、こう付け加えている。
「しかし強い政府と民主主義は両立しうるものです」

つまり独裁ではなく、新しい自由主義というものが生まれるというのです。
一方的な監視社会ではなく、双方による監視社会…
諸刃の剣ではあるが実に興味深い。

また歴史学者のニーアル・ファーガソンは、今回の世界中の経済危機を、2008年のリーマンショックと比べる学者が多い中、こう言っています。
「リーマンショックは金融危機でした。世界中の銀行が大幅な資本不足で、バランスシート上に不良資産を度々持っていました」
「今回は金融危機ではありません」
「財政的症状を持つ公衆衛生の危機です」

実際の物理的な交流や、人々の移動は今後減っていくことでの中での経済をどう立て直すかです。

今のグローバル社会の中だからこそ起こった、想像を絶する拡大を見せることになった危機、ある意味人類の今までの方向性をまったく変えてしまわなければならないことが今、世界では起こっているのかもしれません。

ではどうすればいいか…
ハラリやガブリエル、ファーガソンのような、世界を代表する「そのことで生きる」人たちの知性を知ることで、「知識」を得て、今の自分は、今の生きているこの場所で、来るべく世界を「想像」し、そのために「今」「何」ができるのか、「想像」し、考え、それを形にしていくことが大切です。

「即今(そつこん)・当処(とうしょ)・自己(じこ)」です。

今、ぼくたち、私たちに起こっているパンデミックは、他人事ではなく、自分にリアルに降りかかっている現実です。
今、リアルに立っているこの場所で想像するには、今、自分の周りで起こっているリアルを「知識」として身体に入れなければ「想像」はできないはずです。

ましてや、この大学は芸術大学というアーチストを目指す、つまりは「想像」することで表現し、形にしたいとみんなは思って大学に来たはずです。

田中はゼミ生たちに常々、「哲学を持って生きろ」と言ってきています。

「即今(そつこん)・当処(とうしょ)・自己(じこ)」
その言葉を自分の中で推敲し、考え、想像し、形として生み出していく。
今、生み出せるものは、今しか生み出せないものです。

大学はまだ立ち入ることはできませんが、今、やるべきことを「想像」してください。

田中ゼミの研究室から、「今」、ゼミ生たちに伝えたいことのメールです。

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