「目的」と「手段」

2019-7-31

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学生につねに言っている言葉がある。
「目的」と「手段」だ。

人は「生きる」において、「目的」を持つことによって、自分が「今」「生きている」意味が見えてくる。
「目的」を持てば、「目的」のために「今」「何」をやるべきか、「手段」が生まれてくる。
それは「今」「何」のために生きているのか、つまり「意思」を持って生きる道を歩くことができるのだ。
ここで何度も使っている言葉だが、「人は必ず死ぬ」「死ぬから、生がある」。
「生」とは、「生きている実感」がなければ、「なんとなく」の、ただ呼吸をするだけの生命を感じることのない死への時間がただ流れていくことになる。

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人間というのは「欲望」の塊だ。
その欲望は「生きている証しとして手に入れたい、人に存在をしめしたい」と、美男美女と恋愛したい、車がほしい、マンガ家になりたい…
「人のやくに立ちたい」これも生きているから生まれる「欲」だ。

そう、あらゆるものが、人の持つ「欲望」が心を動かしていく。

その欲望の「目的」のためには、今、何をすべきか。
それが「手段」となる。
大学生なら、「課題」はあくまで手段で、「目的」のために研究し、勉強するもののはずだ。
だが、大学で学生を見ていると、目の前のことが「目的」となっている。
単位をもらうための「課題」を挙げることが目的。
進級することが「目的」、卒業することが「目的」。
就職することが目的…
「目的」があれば、就職だって「手段」として考えればいい。

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学生だけじゃないな。
わかりやすい例を挙げると、たとえばお金だ。
お金は、モノを交換するために、モノを交換する「手段」として生まれてきたものだ。
あくまで目的はモノで、お金をそれを繋ぐための手段だったということにすぎない。
だが、お金を「目的」とする人間がどんどんと生まれてくる。
これは困ったことなのだ。
人間は「欲望」があり、たとえば車などモノを手に入れるために、それを「目的」とするために、手段としてお金を貯めていたはずである。
モノは手に入れれば、その目的は達成する。
だが、お金を貯めることを目的としたらどうだろうか。
人間には「欲望」がある。
「お金がほしい」を目的とした場合、百万貯めれば、一千万、一千万ためれば一億、一兆と、目的の終わりがなくなってしまう。
モノとして形のないお金は、無限大に膨張していく欲望となっていく。

お金を貯めるが目的となれば、お金が市場で回らなくなり、お金を持つ者、持たない者の格差がどんどんと広がって行く。

そもそも人は死ぬのだ。
「手段」が「目的」となったとき、生きる意味の矛盾が必ず生じてくる。
「しあわせ」とは何なのか…
無限につづく「欲望」を「目的」としたとき、そこに本当のしあわせはあるのだろうか。

そう、今の世の中、手段のはずのものが、目的になっていることで資本主義自体が限界にきているのかもしれない。
いや、そのことすら考えていない、目の前のものが「とりあえず目的」と「なんとなく生きている」だけの人たちがどんどんと増えているというのが実感だ。

「目的」というのは、ただマンガ家になりたいといった、過去においての時代の価値観で見てしまうと、その価値観は時代とともに劣化した価値観にほとんどがなってしまう。
「目的」というのは、今の時代、どういった流れの中にいるかということがわかっていなければならない。

テクノロジーの発達というのももちろんだが、経済の流れというのもちゃんとわかっていなければならない。

今、ぼくが取り組んでいる一番の「目的」は、2025年問題である。
2025年には団塊の世代と言われる、ベビーブームと言われた世代が75歳を過ぎることで、日本の人口の5分の1は75歳以上、65歳以上にいたっては人口の3分の1が超えることになる。
年金、保健制度は破綻しかねない状態とともに、「孤独」が大きなテーマになってくる。
そこを、マンガとテクノロジーで、コミュニティを含めた、生きがいと繋がりを生み出していきたいと考えている。

ここで団塊の世代と書いたので、もうひとつ、「今の時代、どういった流れの中にいるか」
を考えるひとつのテーマとして書いておく。

経済的な観点から、年齢を考えると、人が一番お金を使う年齢が、40代、50代である。
車、家、子供の学費を含む、こどもたちにかけるお金などなど、経済は年齢と人口と比例している。
80年代、90年代の日本でのバブルは、まさにこの団塊の世代が40代、50代のときに起こっている。
ではこの先どうなのか。
少子化によって、日本の中での消費はどんどん小さくなっていくばかりで、またバブルがやってくることなどありえない。
だから、グローバルに考えなくてはならない。
日本のマーケットでは、いかに厳しいか少し考えればだれにだって見えてくる。
(なのになぜみんなはそのことを考えないのか不思議だ)
だからこそ経済の流れを含めて、時代の価値観を見極め、その上で「目的」を持たなければならない。
想像しなければならない。
今から自分が目指す方向で、イノベーションを起こすには「今」何をすべきか。
学生も、そう、先生たちも想像してほしい。

「現実は、かってすべて想像の中にあった」
アインシュタインの言葉である。

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